自毛植毛手術はクリニック選びがとても重要ですが、クリニックで行われる植毛方法を選ぶのもクリニック選び同様、非常に重要な検討項目です。
クリニックによって主に扱う手法が違うため、クリニックを決めたものの希望する植毛方法で手術が受けられない場合もあります。そのため、ある意味でクリニック選びよりも先にどの植毛法がいいのかを選ぶ必要があります(クリニックによって得意としている植毛法にも違いがあります)。
ここでは、自毛植毛の手術方法の選び方を様々な角度から紹介します。
人によって重視するポイントは違うため、あなたに合った植毛法を選び、植毛法が決まったら、腕のある信頼できるクリニック選びを行うとスムーズにクリニック選びに繋げられると思います。
目次
まずは植毛方法の種類のおさらいです
まず、植毛方法の種類としてメジャーなものには
- FUT法
- FUE法
- 植毛ロボット
- ニードル法
- スリット法
- バンドル法
- マイクロ・グラフト法
- ミニ・グラフト法
- パンチ・グラフト法
などがあります。現在はほとんど用いられない方法もありますがザックリとこれだけの種類があります。
植毛法によって得たいメリットは
施術の早さ、自然さ、回復の早さ、広範囲、傷痕が残らない、費用が安い
これらですね。
避けたいデメリットは、
不自然さ、高額な費用、痛み
などですね。
これら植毛方法の中から現在主流の毛包単位移植である「FUT・FUE・植毛ロボット」の3つの植毛方法のメリット・デメリットを比較し、重視したいポイント別におすすめの植毛方法を紹介します。

植毛方法の比較重要項目
植毛方法による違いは
- 術中・術後の痛み
- 術後の傷痕の有無
- 生着率と切断率
- 仕上がりの自然さ
- 術後の回復の早さ
- 移植数
- 移植時間
- 費用
などがあります。
これらの項目をそれぞれの植毛法で比較してみます。
術中・術後の痛みは「痛み」、術後の傷痕の有無は「傷痕」、生着率と切断率は「生着率」、仕上がりの自然さは「仕上がり」、術後の回復の早さは「回復」、移植数・移植時間は「スピード」、費用は「費用」としてまとめています。
植毛方法 | FUT法 | FUE法 | 植毛ロボット |
---|---|---|---|
スピード | ◎ | △ | ○ |
仕上がり | ○ | ◎ | △ |
生着率 | ◎ | ◎ | ○ |
回復 | 遅い | 早い | 早い |
費用 | 安い | 高い | 安い |
痛み | 強い | 弱い | 弱い |
傷痕 | 後頭部に一文字の傷 | なし | なし |
このようにそれぞれの植毛法によって、手術の違いだけでなく、手術後の仕上がり、痛みなどにも違いがあります。
平均的に一番優れた方法を選ぶというのがやはり誰もが望むところですが、細かな部分で人それぞれに重視するポイントやこだわりは違うと思います。あなたが重視するポイントと他の部分との兼ね合いを考えて、適切な方法を選ぶと良いでしょう。
重視するポイント別おすすめの植毛法
- とにかく費用を抑えたい
- 仕上がりの自然さ生着率重視
- 傷痕は絶対に作りたくない
- 痛みのない手術が受けたい
- 一度に大量の植毛を行いたい
- バレずに植毛を受けたい
とにかく費用を抑えたい
費用の大小は基本的に手術の難易度や医師への負担、手術時間に比例して高額になります。手術時間が短い方法や人員・人の手の介在が少ない植毛法は費用が安くなる傾向があります。
移植株数が増えても一度にドナーを採取できる「FUT法」や自毛植毛の一部工程を自動化した「ロボット植毛」は費用が安い傾向があります。
おすすめ | FUT法・ロボット植毛(ARTAS植毛など) |
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仕上がりの自然さ生着率重視
移植した毛髪の自然さは毛髪一本一本の方向や角度などを微調整できる植毛法が有効です。自然さには髪の密度も重要なため、高密度で移植でき、かつ切断率が低い方法などを選択することも重要です。
生着率の高さは毛包単位植毛が高く、FUT法・FUE法(ロボット植毛含む)がおすすめです。特にFUTやFUEは生着率が高く腕のある医師であれば95%以上の生着率を誇ります。ロボット植毛はこの点で少し劣ります。
また、仕上がりの自然さではパンチを使い毛穴を作成する方がメスによるスリットよりも方向調整がしやすいと言います。
FUT法・FUE法をメインに毛穴の作成にパンチを利用するクリニックや医師が仕上がりが一番良いと言えるかもしれません。
おすすめ | FUT法・FUE法 |
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ここはクリニックや担当医の腕による部分が大きいので経験値の高い症例数の多いクリニックの方が安心できるかもしれません。
逆に言えば90%や95%以上を超えないようなクリニックや医師の下では受けない方がいいかもしれません。95%以上と自信を持って言ってもらえるくらいでないとこちらとしては不安なので。
傷痕は絶対に作りたくない
自毛植毛で頭皮にメスやパンチ、ニードルを入れるのは採取時と移植時です。採取時はメスを使わないくり抜き式の植毛が傷痕が目立ちにくく、移植時もメスによるスリット式よりもニードルなどによるパンチ式の方がわずかに傷は目立ちにくい特徴があります。ただし、メスによる採取でもトリコフィティック縫合法を利用することで傷口を目立たなくすることも可能です。
自毛植毛で傷痕が残るのは主に後頭部(採取部)です。採取部を切り取らないくり抜き式の採取法が傷痕が目立ちにくいと言えます。
おすすめ | FUE法・ロボット植毛(ARTAS植毛など) |
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痛みのない手術が受けたい
手術中はどの植毛方法も当然麻酔(局所麻酔)を打つため、ほとんど痛みはありません。しかし、術後の痛みの強さや長引き方はメスを使った採取方法の場合の方が強いと言います。そのため、痛みの少ない植毛法を選ぶのであれば、FUE法などくり抜き式の植毛法を選ぶと良いでしょう。
おすすめ | FUE法・ロボット植毛(ARTAS植毛など) |
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一度に大量の植毛を行いたい
一度に大量の移植(メガセッション)を行うには移植にかかる時間が少なく、スピードの速い植毛方法を選択する必要があります。FUT法はFUE法に比べてスピードが速く、大量の移植に向いています。
おすすめ | FUT法 |
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ただし、今ではFUE法でも日に3000株以上の移植実績があるクリニックや医師もいますのでメガセッションはFUT法しかできない訳ではありません。
バレずに植毛を受けたい
私の経験上、植毛が周りにバレやすい期間は最初の1週間~2週間だと感じています。特に最初の1週間をバレずに乗り切るにはやはり長期間の休みを用意するのが一番ですが、無理な場合は術後の回復が早いFUE法やロボット植毛がおすすめです。
ただし、FUE法は後頭部を大きく刈り込むため、広範囲に移植する場合は隠すことが難しくなります。小範囲であれば部分カツラで対応もできます。FUT法は後頭部の一部を帯状に切り取るだけなので採取範囲が狭く、坊主でなければ周りの髪の毛で隠すことができます。
絶対にバレずに受けるには後頭部を切除、刈り上げる必要のない、刈らないFUE法になります。
おすすめ | 刈らないFUE法・FUT法 |
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以上になります。
まとめて比較すると
安い | FUT法・ロボット植毛(ARTAS植毛など) |
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仕上がりが良い | FUT法・FUE法 |
傷痕が残らない | FUE法・ロボット植毛(ARTAS植毛など) |
痛くない | FUT法・ロボット植毛(ARTAS植毛など) |
速い | FUT法 |
バレない | 刈らないFUE法 > FUT法 > FUE法 |
こんな具合でFUE法がトータルでみると一番無難な選択になるかもしれません。現在はFUT法と並び(FUT法以上に人気とも言われている)人気の植毛方法です。
ロボット植毛も平均的に見ると良い方法ですが、生着率が劣ったり、画一的な植毛方法はクリニック・医師側にメリットはあっても私たち患者側にはあまり大きなメリットはありません。一人一人の患者に合わせたオーダーメイドの治療がやはり一番です。
あくまでも一つの選び方なので、カウンセリングへ行くクリニックを絞り込む方法として考え、最終的にはカウンセリング時にクリニックをしっかり見て、医師やカウンセラーの話を聞いて決断するようにしてください。
また、自毛植毛を体験した私個人としてはやはり仕上がりの自然さが一番重要だと思います。痛みはあくまでも一時的なものです。傷口は方法によって目立つものもありますが、目立ちにくくする方法もありますし、髪を伸ばせば隠れます。費用は誰でも抑えたい部分ではありますが、費用をケチったがために仕上がりに満足できないでは、そもそも植毛を受けたことに意味がなくなってしまいます。
そのため、仕上がりの自然さや移植した自毛がしっかりと生着する方法を選び、腕のあるクリニックで植毛を受けることを最低条件に、あなたが重視する点や懐事情と相談しながら適切なクリニックを選んでください。
最終的にクリニックを選ぶ際に重視するべきポイント(手術法や症例数など)を自身の経験やクリニックのアンケートで見た結果などを参考におすすめの選び方として紹介しています。
クリニック選び、カウンセリング訪問の参考にしてください。
⇒ 自毛植毛を受けるクリニックの選び方とおすすめ植毛クリニック