ニードル式植毛は、別名「Choi式植毛法」とも呼ばれ、サイズの違う数種類の植毛針(ニードル)を使用して、移植穴の作成と移植毛の植え付けを同時に行う植毛法です。韓国で人気のある方法で、日本のクリニックでも採用されています。

ニードル式は従来1株の単位を1本として計算していましたが、現在は毛包単位を重視した株分けを行うことが多く、ニードル式もFUT法の一つの方法と言えるようです。

ニードル式植毛法の最大の特徴

ニードル式植毛法の最大の特徴は、穴開けと植え付けを同時に行う点です。
一度スリットやパンチ穴を開け、再度その穴に株を植える必要がなく、移植針を挿入・抜去するだけのワンステップで植毛ができます。

植毛方法はシャープペンシルと同じ原理
グラフトを装填した移植針を頭皮内に挿入し、本体をノックして力を加えると針が移動し、グラフトのみを頭皮内に残し、針は本体に収まります。

一見すると手間もかからず、負担の少ない方法に思えるニードル式植毛はメリットよりもデメリットの方が多いのが現実です。

移植方法

ドナー採取 ⇒ 縫合 ⇒ 株分け ⇒ ホールの作成&移植(4ステップ)

ドナー採取個所の髪を短く刈り込み、植毛する本数に合わせ、後頭部の毛髪部分を短冊状にまとめて切り取ります。ドナー採取をした箇所は皮膚を上下に引っ張り、ホッチキスや糸を使い縫合します。

ドナー採取後、実体顕微鏡(マンティス)などを使い、複数のサイズのグラフトを作成します。

株分けしたグラフトを専用の移植針に一つ一つセットしながら、移植用の穴開けと移植毛の挿入を同時に行いながら植毛していく植毛法です。

メリット・デメリット

メリット デメリット
自然な仕上がり
身体への負担が軽い
生着率が低い
後頭部に傷跡が残る
広範囲に植毛できない
毛包を選べない
痛みが強い
密度が低い

メリット

  1. 自然な仕上がり
  2. 身体への負担が軽い

1.自然な仕上がり

使用するグラフトによって針の大きさが異なり、それらをうまく使い分けることで植毛する部位によって移植するドナー量を増やしたり減らしたり、また、パンチ穴なので毛髪の角度を調整しやすく自然な毛並みを作りやすくなります。

2.身体への負担が軽い

植え付けのみに関して言えば、穴開けと植え付けが同時にできるため、出血や痛みが少なく身体への負担が軽い傾向があります。

デメリット

  1. 生着率が低い(50~60%)
  2. 傷跡が残る(後頭部に)
  3. 広範囲に植毛できない
  4. 毛包を選べない
  5. 痛みが強い
  6. 密度が低い

1.生着率が低い(50~60%)

生着率は様々な要因が関係していますが、ニードル式植毛法は生着率が低い(50~60%)と言われています。穴開けと植え付けを同時に行うため、必然的に移植株よりも穴の径が大きくなるのも生着するまでに抜けやすい点もあるのではないでしょうか。

注射器を使い1本1本植毛するため、手術時間が長く、広範囲の植毛に適していない。細いニードル針にグラフトを装着するため毛包を傷つけてしまいやすく生着率が低くなる。

2.後頭部に大きな傷痕が残る

ドナー採取にメスを使用するため、後頭部には横一文字の大きな傷跡が残ります。2cm前後髪を伸ばせば隠れますが傷痕から毛髪は生えないため傷は一生残ります。ただし、トリコフィティック縫合法などで傷痕を最小限に抑えることも可能です。

3.広範囲に植毛できない

株分けしたグラフトを1本1本ニードルにセットしながら行うため、手術時間は長くなる傾向があります。また、ニードルの操作や全体のバランスを考えながら植え付ける必要があり、熟練の腕が必要になります。時間が長くなると同時に費用も高くなる傾向があります。

それは植毛針にグラフトをセットする際に植毛針に合った正確なグラフトを数種類作成する必要があり、株分けの段階でグラフトの余分な組織をそぎ落とさなければならず、株分けに時間がかかる。

4.毛包を選べない

ドナー採取の方法として、一定の範囲を皮膚ごと切り取るため、一つ一つ毛包を選ぶことができません。そのため、健康な毛包、不健康な毛包が混ざり、一定の品質を保つことが難しくなります。

5.痛みが強い

手術中は麻酔が効いているので問題ありませんが、後頭部を大きく切り開くため、術後の痛みは比較的強いと言えます。

6.密度が低い

ホールの作成と移植を同時に行う分、当然ホールの方が大きくなります。そのため、移植穴が大きいため、高密度での移植には向いていません。また、大きい移植穴に対して株の直径が必然的に小さくなるため、生着するまでに抜けやすいなど生着率にも少々問題がある方法と言えます。

植毛できる密度に限界があり、正常な毛髪密度の約5割程度しか植毛ができない。採取部はメスを使うため、大きな傷跡となって残りやすいです。


メリットとデメリットを見比べてみるとデメリットが多い様に、欧米の専門医は韓国や日本がなぜニードル式植毛に固執するのかわからないと漏らすこともあると言います。

一見するとホール作成と移植が同時に行えるのはメリットのように感じますが、実はあまり大きなメリットになっていません。

むしろ、穴開けと植え付けを分けることは穴開けを医師が担当し、植え込みを看護師が担当するなど作業を分担できるメリットがありますが、ニードル式植毛は同時に行うため、医師が単独で行う必要があり、手術時間は長時間化します。

また、多くのクリニックでスリットやパンチ穴は医師が開け、植え付けは看護師が担当しますが、穴開けを看護師に任せられるのも私たち施術を受ける側としては不安も大きくなり、デメリットになり得ると思います。

実際に使っていないクリニックによると穴の径も大きく、密度が取りにくいため、結果がイマイチで使わないケースが多いようです。そのため、現在はニードル式植毛を採用しているクリニックは少ないです。

Choi式植毛の歴史

1992年、韓国のキム医師により開発された植毛法。
植毛方法と植毛技術の歴史と変遷