人工毛植毛とは、合成繊維で作られた毛(髪の毛に似せて作られた繊維)を頭皮に植え込む植毛方法です。どちらかと言うと「増毛」に近い方法になります。素材は人体に馴染みやすいポリエステルやナイロンなどが使われています。(クリニックによって使用する素材は異なります)

日本では自毛植毛よりも知名度が高いと言われており、植毛と言えば人工毛植毛と思っている方も少なくないと言います。単純に人工植毛とも呼ばれます。

一般の認知度が高い方法ですが、おすすめできる薄毛治療法ではありません。

メリット以上にデメリットが多く、リスクの高い方法なので、自毛植毛が可能な方は絶対に自毛植毛を受けるべきです。

植毛方法・手術の流れ

人工毛の植毛(1ステップ)

人工毛植毛は自毛植毛の様にドナーを採取する必要がありません。人工的に作られた繊維(人工毛)を専用の植毛針を使い、薄毛が気になる箇所に植え付けていくだけで完了します。そのため、短時間で大量(広範囲)の植毛が可能になります。

メリットとデメリット

メリット デメリット
すぐに増毛効果が実感できる
人工毛なので無限に植毛できる
1回の費用が安い
100%生着しない
1年で60~80%が抜け落ちる
頭皮トラブルが起こりやすい

メリット

  1. すぐに増毛効果が実感できる
  2. 人工毛なので無限に植毛できる
  3. 1回の費用が安い

1.すぐに増毛効果が実感できる

植毛と言っても人工毛を植え付けるため、「増毛」に近い植毛法で、人工毛植毛を行った直後から髪のボリュームアップを実感できる、非常に即効性が高い方法です。

2.人工毛なので無限に植毛できる

自分の髪の毛を移植するわけではないため、数に限りがなく、何度でも無限に植毛することが可能です。生着することはありませんが、手術の度にフサフサな髪が手に入ります。

3.1回の費用が安い

植え付ける人工毛の量にもよって費用は変わりますが、手術の工程が少なく、自毛植毛に比べると1回当たりの費用は格段に安い傾向があります。ただし、生着しないため、半年~1年置きに継続的な植毛が必要になります。

デメリット

  1. 100%生着しない
  2. 1年で60~80%が抜け落ちる
  3. 頭皮トラブルが起こりやすい

1.100%生着しない

人工毛なので生着することは100%ありません。そのため、抜け落ちれば生えてくることはなく、伸びることもないので周囲の髪の毛とのバランスを取るためにも常にメンテナンスが必要になります。

2.1年で60~80%が抜け落ちる

人間の身体は、体内へ侵入を図る異物を排除する免疫システムが備わっているため、人工毛を異物と認識し、体外に追い出そうと働きます。その結果、少しずつ人工毛は抜け落ち、1年後には6~8割もの脱毛が起こります。抜けた髪を補うには再植毛しかないため、継続的な植毛が必要になり、心身への負担も経済的な負担も大きくなります。

また、この抜けやすさを防ぐために人工毛は頭皮の深部に差し込み固定しますが、切れ毛によって皮膚の中に人工毛の切れ端が残ってしまうと簡単に抜くことができなくなり、感染など頭皮のトラブルを招く原因にもなります。

3.頭皮トラブルが起こりやすい

人工毛は成長しないため、毛穴に皮脂や垢などの汚れが溜まりやすく、細菌が繁殖しやすい環境になります。その結果、感染が起こりやすくなり、炎症、化膿の原因になります。慢性的に炎症や感染、化膿が続くと頭皮が線維化して硬くなり、血流が低下します。さらに感染範囲が広がると残っていた既存毛にも悪影響を与え、髪が生えてこなくなる場合もあります。

またピットスカーと呼ばれる頭皮が凸凹(でこぼこ)になる症状も高確率で発症します。何かと頭皮トラブルの尽きない植毛法でリスクが非常に高いです。


手術直後に効果が実感でき、数に限りがなく、何度でも、無限に植毛することができる方法ですが、デメリットが非常に大きく、とても推奨できる方法ではありません。現に植毛先進国であるアメリカでは問題のある植毛法(増毛法)として法律で禁止されています。

人工毛植毛は、植毛法の中でも最後の手段と捉え、まだ自毛植毛をするだけの髪がある方は自毛植毛を選択することを強くおすすめします。

人工毛植毛の歴史

人工毛植毛の発祥は日本(ニドークリニック)と言われており、1970年代頃から本格化した薄毛治療法です。しかし、1980年代以降、アメリカでは完全に禁止され、日本やヨーロッパでも現在は積極的に行われなくなってきています。
植毛方法と植毛技術の歴史と変遷