自毛植毛とは、薄毛治療の植毛法の中の一つで、自分の毛髪(AGAの影響を受けない後頭部や側頭部の毛髪)を薄毛が気になる場所に移植する方法です。移植には外科手術が必要なため、高額な費用と肉体的・精神的負担がかかりますが、生涯薄毛対策を必要としないメンテナンスフリーの髪が手に入ります。

生着すればほぼ必ず生えてくるため、現代医療の中では最も確実性の高い薄毛治療法と言えます。

⇒ 自毛植毛のメリットとデメリット

性質

AGA(男性型脱毛症)は男性ホルモン(テストステロン)が引き金となり起こる現象です。
テストステロン自体には体毛やヒゲなど、毛を生やす作用があるのですが、前頭部と頭頂部にある5αリダクターゼと結びつくことで、ジヒドロテストステロン(DHT)に変化し、このDHTが男性ホルモンレセプターと結合することで毛髪の成長期を終わらせ、脱毛を促進させます。

しかし、自毛植毛により移植される後頭部と側頭部の毛乳頭にはこのDHTと反応する男性ホルモンレセプターがほとんど存在しないため、脱毛が起こりにくいのです。

つまり、「前頭部と頭頂部」と「後頭部と側頭部」では元々髪の性質が異なるため、男性ホルモンの影響に違いがあり、DHTの影響を受けない後頭部と側頭部の毛髪を植え付けることで薄毛の悩みを半永久的に解決できるのが自毛植毛法です。

植毛した髪の毛はなぜ抜けないのか?

自毛植毛を知る上で欠かすことのできない性質が「ドナードミナンス」です。自毛植毛はこの「ドナードミナンス」理論を前提に行われる薄毛治療です。

ドナードミナンスとは?
毛髪は元々生えていた場所の性質を維持するという原理で、科学的に証明されている理論です。
「ドナー=提供者」「ドミナント=優勢」の意で、元あった毛髪(ドナー)の性質を優先する(ドミナント)ということです。

つまり、髪の毛1本1本が遺伝子情報を持っており、男性ホルモンによる影響は移植先の頭皮ではなく、毛髪ごとに決まっているということです。

「植毛しても時間が経てば、また抜け落ちてしまうのではないか?」と心配する方も多いですが、その心配が無用なことは自毛植毛の70年以上にも渡る歴史や科学的根拠が証明しています。

自毛植毛の歴史

植毛の歴史は古く、遡れば1800年代、脱毛治療のために皮膚移植が提案されたことが始まりと言われています。

日本では、奥田庄二医師が頭部の火傷治療のため、皮膚移植をしたのが始まりと言われ、1939年に日本皮膚・泌尿器科雑誌上で「パンチグラフト」の手法を発表し、自毛植毛の概念を定着させたと言われています。

また、戦前の日本では、奥田医師以外にも笹川正男医師、田村一医師らが自毛植毛に関する優れた研究を行っていましたが、これらは戦争などの影響により、世界に知られることはなかったと言います。

奥田医師の発表から20年、1959年にアメリカのノーマン・オレントライヒ医師が「パンチグラフト」を男性型脱毛症の治療法へと発展させ、1970年代「奥田・オレントライヒ法」として世界に広がり、植毛技術革新が進んでいくことになります。

1993年、アメリカのダラスで初めて国際毛髪外科学会(ISHRS)が開催され、自毛植毛と言う医療技術が世界的に注目されるようになりました。それ以降、国際毛髪外科学会は毎年開催され、現在では世界60ヶ国1000人以上の植毛に精通した専門医が集まり、優れた植毛技術や最新の医療機器が次々と考案され続けています。