FUTとは、「Follicular Unit Transplantation(フォリキュラー・ユニット・トランスプランテーション)」の略称で、「Folicular Unit(毛包単位)」「Transplantation(移植)」という意味です。名前からもわかる様に、毛包単位移植のゴールデン・スタンダード(世界基準)とも言われる植毛方法です(現在の主流はFUEに変わりつつあるようです)。

「切らない自毛植毛」である「FUE法」に対して「切る自毛植毛」とも言われています。ストリップ法とも呼ばれます。

FUT法の最大の特徴

FUT法の最大の特徴は、毛包単位での植毛であり、メスを使った手術という点です。

今ではマイクロ・グラフト法などにおいても毛包単位を重視した株分けを行うことが多く、その術式も含めてFUT法と呼ぶのが一般的になっているため、多くの植毛法がFUT法と似た植毛法になっています。それぞれの植毛法の違いがわかりにくいと思いますが、ほとんどがFUT法とも言えます。

毛包単位とは?
毛包には1本毛~4本毛のグループがあり、皮脂腺と立毛筋を共有する基本的な構造上の最小単位のことを言います。簡単に言えば、髪の毛を育てるために必要なセット一式(ユニット)としての単位ということです。この毛包単位ごとに植毛する方法が最先端の植毛法として評価を確立しています。

後頭部の一定の範囲を帯状に皮膚ごと切り取り、株分けを行い、移植します。そのため、短時間での手術が可能で、医師・患者ともに負担が少なく、料金も安い傾向がある自毛植毛方法です。

移植方法

ドナー採取 ⇒ 縫合 ⇒ 株分け ⇒ 毛穴の作成 ⇒ 移植(5ステップ)

ドナー採取箇所の髪を短く刈り込み、植毛する本数(株数)に合わせ、後頭部の毛髪部分を帯状にまとめて切り取り、ドナー採取を行います。ドナー採取した箇所は皮膚を上下に引っ張り、ホッチキスや糸などを使い縫合します。(縫合方法はクリニックによって違います。また、糸には吸収する糸としない糸があり、吸収する糸は抜糸の必要がありません。)

ドナー採取後、実体顕微鏡(マンティス)などを使い、1本毛、2本毛、3~4本毛などをマイクロ・グラフト単位までメスを使い株分けを行います。

移植部にメスなどで小さなスリット(またはホール)を作り、グラフトの性質に適した場所にドナーをピンセットで差し込んでいく自毛植毛法です。

メリット・デメリット

メリット デメリット
費用が安い
切断率が低い
手術時間が短い
後頭部に大きな傷跡が残る
毛包を選べない
痛みが強い

メリット

  1. 費用が安い
  2. 切断率が低い
  3. 手術時間が短い

1.費用が安い

後頭部を帯状にまとめて切り取るため、一度に大量のドナーを採取でき、比較的少ない手術時間での移植が可能になります。そのため、医師の負担も少なく、料金が安い傾向があります。

2.切断率が低い

皮膚ごと切り取った後で実体顕微鏡(マンティス)を使い丁寧に株分けを行うため、採取時に毛包を傷つけるリスクが少なく切断率は低い傾向があります。

3.手術時間が短い

一度に大量のドナーの採取ができるため、全体の手術時間が短縮されます。移植時間が少ないほど生着率は高くなる傾向があるため、素早い施術は生着率の向上にも期待が持てます。短い手術時間は患者の心身への負担も少ないと言えるでしょう。ただし、株分けの技術には高い熟練度が必要で細かい作業を伴うため、慣れた医師・スタッフでないと手術時間は長くなってしまいます。

デメリット

  1. 後頭部に大きな傷跡が残る
  2. 毛包を選べない
  3. 痛みが強い

1.後頭部に大きな傷跡が残る

皮膚ごと切り取るため、後頭部に一文字の大きな傷跡が残ります。周りの髪が伸びれば隠れますが、縫合した箇所の毛髪は生えてこないため、傷は一生涯残ります。ただし、トリコフィティック縫合法など傷跡を最小限にする縫合方法もあります。

2.毛包を選んで採取できない

メリットの裏返しになりますが、一定の範囲内の毛包を皮膚ごと切り取るため、毛包を選ぶことができず、健康な毛包、不健康な毛包が混ざるため、一定の品質を保つことが難しく、品質の良い毛包だけを採取することができません。

3.痛みが強い

手術中は麻酔が効いているので問題ありませんが、後頭部を大きく切り開くため、術後の痛みは比較的強いと言われています。


費用が安く、手術時間も短い上、切断率も低い植毛法で自毛植毛手術の中では比較的受けやすい手術方法ですが、傷跡や術後の痛み、毛包を選べない分全体の自然さが落ちるなど大きなデメリットもあります。

我慢するところは我慢して、できるだけ安く手術を受けたいという方に最適な自毛植毛方法と言えるでしょう。

FUT法の歴史

1995年、リマ―医師、バーンステイン医師、ラスマン医師らによりFUT法(ストリップ法)が提唱され、植毛治療の主流となった方法です。

自毛植毛法の歴史と変遷